離婚について相談したいと思っていても、相手が弁護士となると費用面が心配、そもそも敷居が高いと感じる人は少なくないでしょう。

そんな時に相談先として思いつく場所の一つが市役所や区役所での無料法律相談ではないでしょうか。

確かに弁護士事務所へ行くよりも心理的ハードルが低く、無料で相談できるという点は魅力的ではありますが、もちろんデメリットも存在します。

そこで今回は、市区役所で行われている無料法律相談ではどんな問題を解決できるのか、そこで離婚相談を行うことのメリット・デメリットについて紹介していきたいと思います。

市区役所の無料法律相談だとどんな問題が解決できる?

法律相談ができる、と聞くと、法律に関することならなんでも聞けるし教えてもらえるのではないか、と感じる人も多いかと思います。

ですが、役所で行われている無料の法律相談は、実はどんな問題でも解決できたり疑問を解消できるというわけではありません。

多くの場合、相談者から寄せられた問題に対して一般的な対処法や手続きの仕方、正式に弁護士へ依頼すべきか否かなど、今後のおおまかな流れをアドバイスしてくれるのが、市区役所で行われている無料法律相談です。

そのため、法律の関わる書類を作成してくれるというようなこともありません。

なので、問題の解決を期待して市区役所の無料法律相談を訪ねると、期待外れの結果に終わってしまいます。

なので、市区役所の無料法律相談を利用する際は、具体的な解決法の伝授を目的とするのではなく、ちょっと話を聞いてみたい、今後の道筋についてザックリと知っておきたい、といったスタンスでいく事をオススメします。

役所の離婚相談を利用するメリット

まずは市区役所の法律相談のメリットについてみていきましょう。主に3点あげられます。

まず、基本的に無料で利用できるようになっていること。

次に、相談には市区役所や市民(区民)ホールで実施されていることが多いため、あまり緊張せずに訪ねることができるということ。

そして最後に、市区役所の窓口などでは、離婚後の生活に関する支援についても相談できます。専門の相談員がいれば、お子さんのことについても相談可能です。

このあたりは公的機関ならではといえますね。

役所の離婚相談を利用するデメリット

市区役所での離婚相談のメリットについてみた後は、デメリットについてもみていきましょう。

担当者(弁護士)を選べない

市区役所の離婚相談では、相談を担当する弁護士を自分で選ぶことができません。そのため、離婚問題に詳しい弁護士に対応してもらえるかは行ってみないとわからないのです。

それどころか最悪の場合、弁護士が自身の所属事務所の宣伝ばかりしてくる、正式な依頼をさせようとしてくる、例え法的には的確なアドバイスだったとしても心ない事を言われてしまった、そうしたケースも残念ながら見受けられます。

離婚に対して不安を感じている中で勇気を出して相談に行ったのにこのような対応に遭ってしまったら、弁護士に対する不信感も募りそうですよね。

このように、自身で応対してくれる弁護士を選べないことでミスマッチが起きてしまうのも、役所の法律相談を利用する上で大きなデメリットといえるでしょう。

相談できる時間が限られている

市区役所で実施されている法律相談は、基本的に各役所が開いている曜日・時間帯にしか利用することができません。

つまり、ほとんどの場合平日の昼間にしか行われていないので、たとえば働いている人などこの時間帯に訪ねることが難しい人は利用しにくいのです。

また、無料相談では多くの来訪者に対応するため、一人あたりの相談時間が10分〜30分とかなり短時間に設定されているケースがほとんど。

そのため、限られた時間の中で満足できるまで相談を行えずに終わってしまうこともあるのです。

市区役所の無料相談利用時の流れと注意するポイント

市区役所での法律相談は無料で気軽に相談できるのがメリットではありますが、相談時間が限られていることもあり、何も準備せずに行ってしまうと収穫のないまま帰ってくるという事態につながりかねません。

せっかく訪ねるのですからこのような事態を避けるためにも、あらかじめ準備してから無料相談を利用することをオススメします。

では、実際にどんな準備をしていくと良いのか、どのようなポイントを注意しておくと良いのか。もう少し詳しくみていきましょう。

無料相談利用前の事前準備

市区役所で実施されている無料の法律相談は、1件あたりの相談時間が限られており、その設定時間もけして十分なものとは言えません。

そのため、予備知識もなく、聞きたいことのポイントも絞っていない状態で無料相談を利用しようとすると、離婚に関する用語や基礎知識などの説明だけで相談時間が終わってしまいかねません。

なので、事前準備としてまずは、慰謝料や養育費、財産分与や親権といった離婚に関する基礎的な知識・用語についてはある程度自分でも調べておきましょう。

また、そうした離婚にまつわる事柄の中でもあなたが1番何を聞いておきたいのかを決めておきましょう。

焦点を絞って伝えることで相談も進めやすくなりますし、予備知識や用語について知っておくことで、話の途中で弁護士が説明の時間を割く必要がなくなるため、限られた時間でも充実した相談を行うことができるはずです。

無料相談当日

繰り返しになりますが無料相談は多くの場合1案件につき1回限り30分のみという利用に関する制限があります。

ほんのわずかな遅刻でも対応してもらえなくなる可能性もあるので、最低でも予約の10分前には役所に到着しているようにしましょう。

また、役所によっては無料相談を予約ではなく先着順で行なう、整理券を配るケースもあるので、こちらも早めに役所に到着しておく必要があります。

せっかく訪ねたのに混雑していて相談できなかったというケースは避けたいですからね。

なお、無料法律相談が予約制なのか先着順なのかについては、お住まいの各自治体に問い合わせてみてください。

まとめ

役所で行われている無料の法律相談は、いきなり弁護士事務所に直接訪ねることと比べて心理的ハードルも低く利用しやすいというメリットがあります。

しかし同時に、時間の制限や担当弁護士を選べないといったデメリットも。

なので、まずは離婚に向けた第一歩として利用してみるのは悪くないかもしれませんが、本格的に離婚に向けて動き出すなら、あなたにとって相性が良く、信頼できる弁護士を選ぶことは大切です。

弁護士を探すにあたっては、地域や営業時間、相談内容別に絞って検索でき、離婚問題に対する実績のある弁護士だけに特化したポータルサイト『離婚弁護士ナビ』などを利用する、法テラスやお住まいの地域の弁護士会に問い合わせてみるなどの方法があります。

そのほか、離婚カウンセラーや離婚問題について取り組んでいるNPO法人を利用し、法律面以外での離婚に関する悩みを相談するという手もあります。

ぜひあなたの今後の生活のためにも、あなたに合った機関を探してみてくださいね。